ハンマーU.S.ツアー 2004

ハンマーU.S.東海岸ツアーレポート 2004 Text By 安達

今回のツアーは、ハンマーのデモ(2000年 録音)を7インチとしてリリースしてくれた、カナダのDeranged-rec.のGordが“USツアーをやってみる気はないか?”というメールをくれたのが始まり。2004年の1月の事である。
その後、交渉を重ねていく中で実際にツアーを企画するのはGordの友人であるTimmyという人物である事が判明。直接Timmyと交渉を開始する。西海岸を回るか、東海岸にするかから始まり、メンバーの仕事を休める期間が定まらなかった事もあり、日程が決まるまでには時間がかかった。ようやく日程が決定した後は、ツアーで販売するTシャツやレコードの話をまとめる。結局今回は全て向こうで用意してくれる事になり、助かった。2001年に日本のDiscrete-rec.から出したCDもツアー直前にDeranged-rec.がLPとして再発。タイミング良くリリースされた。GordとTimmyが非常に協力的であった事に感謝したい。

 

 

(SIGNAL LOST)

今回のツアーはSIGNAL LOSTの1ヶ月以上に渡るツアーの途中から参加させてもらう形となった。SIGNAL LOSTはPRANK-rec.よりアルバムを出しているテキサス出身のバンドで、ギターのStanはDEATHREAT/BALANCE OF TERROR,アルバムは違うが、今回のツアーで叩いてるドラムのChrisは現SEVERED HEAD OF STATE(Wow!)/J CHURCH。
音はハードコアと言うよりはメロディのしっかりしているPunk rock。演奏力もあり、興味を持ってくれた方は是非音源を聴いてもらいたいと思います。

 

*このレポートは安達個人の視点で書かれています。他にも様々なエピソード、意見があると思うので、

興味ある方はハンマーのライブで直接他のメンバーに聞いてみて下さい。

2004/10/15(Fri) Philadelphia PA(Pennsylvania州) @the C.O.D.E. space

成田から、まずデトロイトへ。ほぼ定刻通りに着き、フィラデルフィアへの乗り継ぎも間に合うなと思っていたら…… Immigration(出入国管理)にてバンドをやっているのかと聞かれ、4人全員別室へ連れていかれる。何事か分からずにいると、尋問が始まった。今回もちろんホテルなどに滞在する予定はないので、滞在先を俺の友人宅にしていたのだが、それについてかなり突っ込まれた。Timmyにも何度も電話され、彼には非常に迷惑をかけてしまった。
俺はさらに個室に連れていかれて、様々な尋問を受ける。荷物も全て出され、財布の中まで全て調べられる始末。服も脱がされるかと思ったよ。結局2時間近く拘束され、予定の便を逃してしまう。覚えてやがれ、Brooks!でも入国出来た時は本当にホッとしたなあ。経験したことのない疲れがでました。
予定よりも3時間ほど遅れて、フィラデルフィア着。電話をすると15分程でTimmyが迎えに来てくれて、ようやく会えた!Immigrationにうまい事言ってくれて、本当に感謝。
今日はハンマーのライブは無いが、SIGNAL LOSTがライブをやっているので、そのまま会場へ。中に入るなり、大喧嘩が始まり騒然としている。なんだか刺激の強い日だ。この日はSIGNAL LOSTの最中にも喧嘩があり、雰囲気は良くなかったかなあ。しかし、SIGNAL LOSTは演奏力の高いライブ、トリを努めたCAUSTIC CHRISTは期待以上のライブでこれからの期待が高まる。
Tシャツやレコード、バッチなどのツアーグッズを確認する。思っていたよりも良い出来で嬉しい。EPにはツアー限定のジャケが付けられていた。終了後に外で挨拶がてら話していると、すぐ近くでパンパンという音が…… 銃声!話し掛けてきた奴が言う“This is America”怖いな~。
その後は今日の企画者Gregの家でパーティー。遅くまでかなりうるさかったが、明日からに備えて強引に寝る。

2004/10/16 (Sat) Providence RI (Rhode Island州) @ AS220

朝起きてコーヒーをもらう。ツアー中ずっとそうだったが、家の中でタバコを吸う人がいないため俺達は自然に外に集まってしまう。移動中のバンの中も吸えなかったのは、苦痛であった。アメリカ人が日本に来て、日本人はよくタバコを吸うねと言う理由を実感。ほとんどみんな吸わない。
昼頃ピザを食べ(でかい!うまい!けど安い!)、それから約6時間のドライブ。DEATHREATの物というバンは大きくて乗り心地は悪くない。後方には眠れるスペースもある(狭いけど)。しかし移動距離が半端じゃないです、アメリカは。
今日の会場に着き、機材を搬入。バーのスペースがありなかなか雰囲気良し。ステージはちゃんとあるが、どのバンドも演奏組はステージの上、Voは最初からフロアで歌うのが普通みたい。今日は初のライブで、万が一楽器が壊れていてはまずいので、サウンドチェックをしたいと事前に伝えていた。時間的に余裕もあり、数曲やるも言葉の壁がありスムーズにはいかず。それでもギターの音が凄く良かったので、まあ平気だろうと終了。
バンドのメンバーにのみ、パンと、具のたくさん入ったスープの食事が提供されていた。日本のようにコンビニがあって、どこでも温かい食べ物が手に入るわけではないので、これは助かる。飲み水も無料で提供されていて、店の中で一応全て手に入るようになっていた。ビールもメンバーは半額以下。
ライブのスタートは夜9時。小雨が降っていたが、客もぞろぞろと集まってきた。日本のバンドのパッチ付けてる率かなり高し。でも見たことないのばっかり(笑)。
トップはTHE THIRD DEATH。ドラムセット持ってきているのに、スティック持ってきてないドラマー。ジュン君が貸していた。機材交換の手間を省くためか、フロアに機材を置いて演奏。速く短いハードコアでVoの声が印象に残る。なかなかサクサク行く感じで見ていて好感持てた。無料で配っていたCD-RもGOOD! ちょっとCRYPTIC SLAUGHTERを彷彿とさせる。続いてSIGNAL LOST。昨日よりも演奏がかなり良くて、盛り上がった!Voのアシュリーはステージからかなり離れたところまで動いて歌う。声量もあり、なかなかのステージング。
さあ!いよいよアメリカ初ライブ!始まる前からかなりの人が集まってくれていて、気合が入る。なぜか会場にはガーゼが流れてた。“We're HAMMER from Tokyo, Japan!”お約束のMCから飛ばす。最初から凄い暴れっぷり!体がでかいから動きが大きいし、フロアで歌っていたシノは大変。俺はステージ上から見ていて物凄く面白かった。曲が終わる毎に大きな拍手をもらう。ダイレクトに返ってくる反応が嬉しかった。結局、最後まで大盛り上がりで終了!
CAUSTIC CHRISTは今日も分厚い音で迫力のあるステージ。盛り上がってたし、個人的に凄く楽しめた。アンコールではFLIPPERのカバー“HA HA HA”をプレイ。良かったなあ~。全ての演奏終了後、多くの人に“Great Show !”,“Awesome!”と握手を求められ、なんとレコードにサインまで求められる。この日だけで、EPが40枚以上、LPは20枚以上、Tシャツは10枚以上売れたと聞き驚く。値段が安いということもあるだろうけど、日本の俺達のライブでは考えられない。嬉しかったなあ。ちなみにEPは3ドル、LPとTシャツは各8ドル。
昨日の喧嘩を見た俺達に、喧嘩なんて滅多にないから安心してくれと言っていたTimmyが客ともめて、つかみ合いをしてた。お前が喧嘩してどうする!昨日までちょっとぎこちなかったけれど、ライブをやってSIGNAL LOSTともCAUSTIC CHRISTとも打ち解けられた。どちらのメンバーも良かったと言ってくれたし。ツアーが始まった!と実感。
今日は企画者で、ARMAGEDDON SHOPというレコード屋のBenの家に。彼はレーベルもやっていて、DROP DEADやTRAGEDYなどを出してます。食事をもらい、少し話してから2階で寝るも俺だけ毛布渡されず寒くて眠れない… 長い夜になりました。

2004/10/17 (Sun) NYC NY (New York州) @Knitting Factory

朝食は豆と豆腐。この豆腐が辛い!朝からよくこんなもの食べるなと思いつつ、自分も結構食べた。SIGNAL LOSTはベースのジャスミンを除いて、みんなベジタリアン。Timmyは仕事がベジレストランのコックと、こういう食事が多いのは当たり前。(でもツアー中、肉を食いたいと言っても嫌な顔をせず、こっちの意見は尊重してくれました。)CAUSTIC CHRISTのドラムと外で仕事や家庭の事などを話す。彼は娘さんがいて、とても可愛いがっているみたい。朝にふさわしい爽やかな話をしました。彼はその後もずっと気さくに話かけてくれて、俺は何度も気楽にさせてもらった。とても良い人でした。ありがとう!
今日はまずARMAGEDDON SHOPへ。レコード屋に行ければいいな~と思っていただけに嬉しかった。だがレコードをちゃんとチェックしてしまうと、欲しい物が次から次へと出てきてしまうと思い我慢。HERESYのTシャツのみ購入。5ドル!安い。でもジュン君は同じの買って8ドル。なんで?TimmyはIRON MAIDENの12インチを2種類買っていた。
そこから給油して、NYへ。今までとは車の量が違う!運転も荒いし、急ブレーキ多し。事故らないで~。それでもハドソン川の側を通ると、バカでかい客船や空母!などが見えてきて、気分も盛り上がる。自由の女神もほんの僅かに見えた。会場に着くまでにかなり迷っていたが、途中グラウンドゼロを通った。平和を祈る。 今日は午後3時スタートと早い。でも5バンドで8時まで時間はあるらしい。ゆっくりできるな。トップはWITCH HUNT。トリオでフロントの2人が女性。アルバムも出してるみたいだが、興味湧かなかった。そこにChrisが来て上に食事があるからと言うので行くと、ポテトやオニオンフライなどを買ってきてくれていた。常に気を使ってくれる彼等に感謝。
次はフィンランドから来ているHERO DISHONEST。全く予備知識なしで見たんだけど面白かった!ツインヴォーカルの5人組で、Voの2人以外は全員IRON LUNGのTシャツ着てました。Voの片方がかなり良い雰囲気を持っているが、これは実際に見てもらわないと。説明できません。音はスラッシュ。オススメ! 日ごとに良くなるSIGNAL LOSTに続いて俺達。だが機材のトラブルもあり、ノリ切れない感じ。個人的には後半盛り返したが、いまいちな感じで終了。何人かのモヒカンPunksはずっと暴れていて、終わってからも声をかけてもらえたけど、自分達としては不完全燃焼で終わってしまったか。残念!CAUSTIC CHRISTは今日も分厚い音で格の違いを見せてくれた。かっこいい!なんと言うか経験の違いを見せつけられてしまった感じ。悔しかったけど、自分の実力も分かってるから。精進します。
夜、ハンマーの4人だけで中華屋へ。中国人の英語が分からず一苦労。ステーキ&チャーハンを頼んだが、すげー脂っこくて全部食えず。今日はTimmyの友人宅へ。なんかギャラリーのような感じで、壁には絵がたくさん描かれていました。全員地下室で寝る。猫が、じゃれてきて、可愛かった。夜中でもすげえでかい音でレコード聴いてて、羨ましかったなあ。でも何故かVENOMの“Black Metal”。久々に聴いたが、やっぱりかっこいい!

2004/10/18 (Mon) Boston MA (Massachusetts州) @The Polski American Club

朝起きると誰もいない。シノと、ともっちゃんは早朝地下鉄でグラウンドゼロに行った。なんで起こして連れてってくんないんだよ~。行きたかった。目の前のスーパーで売ってるタバコが7ドル!高いな~。
11時頃出発。マンハッタンで食事を取る事になり、みんなはベジレストランへ。俺らは日本食を食べに行く。歩いてるだけでも面白い。日本食は可も無く不可も無く。安くも無く、高くも無く。肉は美味かった。その後、GENERATIONというレコード屋へ。天気も良くて、歩いてるのは楽しかった。でもみんな歩くの速い!俺はMISFITSのTシャツを購入。日本で同じ物を買ったら倍近くするかな~。どっちかと言うとメタル系のシャツが充実してました。CELTIC FROST のパーカーは悩んだ挙句に断念。
寝てしまったので分からなかったが、かなりの時間をかけて、夜8時頃にボストン着。着いてすぐに搬入し、提供された食事を頂く。今日は米とスープ。美味かったがライブ直前はあまり食べないようにしているので、一杯でやめておく。曲順を決めていると、日本語で話し掛けられて、日本でハンマーを見た事があると言われた。初日のライブは凄かったみたいですね、と言われて、もう話が広まってるのか~と驚く。彼とはもう少し話したかったが出来なかった。心残り。
トップのMIND ERASERはVoがBATHORYのシャツを着ていて個人的に期待大だったが、当たり!引きずるような曲が多く俺好み。いいね~。重いバンド大好きよ。次はSLEEPER CELL。う~ん、日本のハードコアの影響がでかい。マイクの持ち方とか歌い方はモロ。EPを2枚出していて、音源を聴いた限りではそんな感じはしなかったんだけどな。このバンドはドラムが凄い!フォームは無茶苦茶なんだけど、出音がでかい!見ていて面白かった。
次はCAUSTIC CHRIST。今日で一緒にやるのは最後なので、じっくり見る。今日が一番良かった!曲が良いとあらためて実感。歌い方もかっこいいし、文句なし。一緒に回れて、本当によかった。
次はSIGNAL LOST。実はこの日、ステージとは反対側にテレビがあり、レッドソックス対ヤンキースを放送していて、ライブ見ないで野球見てる人が結構いたんだけど、アシュリーはそれをかなり気にしているみたい。ただSIGNAL LOSTの時はかなり集まってきていたけど。ドラムのChrisはかなり気合の入ったプレイをしていた。

HAMMER

トリは俺達。ドラムのセッティングに時間をかけたいと、ゆっくりやっていたがベースとギターの音を同時に出した途端に客電を消されてしまう。それでも時間をかけて準備。演奏を始めた瞬間から、かなりの盛り上がり!いやー凄い。あまりの盛り上がりにマイクが飛んだりして、楽し過ぎ!最後まで大盛り上がり。それでもハンマーコールが起こり、ステージ横で倒れているとCAUSTIC CHRISTのVoに起こされて、連れて行かれる。“Do you wanna some more ?”と問い掛けると、物凄いコール。1曲だけやって終了。いやー楽しかった!アシュリーに個人的に凄く楽しめたと言われて嬉しい限り。またしてもサインを求められる。EPはこの日で完売!2種類で計130枚が3回のライブで売り切れ。信じられない。
今日はCAUSTIC CHRISTとやる最後の日。みんなで写真を取り合い、抱き合って別れを惜しむ。本当に良くしてくれたし、楽しませてくれた。また会いたい。ちなみにCAUSTIC CHRISTはツアーで43時間のドライブを経験したことがあるらしい。クレイジー!アメリカは本当に広いんだな。この日も12時間かけて帰るという。まったくタフだぜ。
今日はパーティー組とすぐ寝る組に分かれたが、俺らは全員寝る組。SLEEPER CELLのギターの車について行く。到着して、D.S.B.が表紙のMRRなどを読んでいたらいつの間にか寝てしまった。POISON IDEAのかっこいいポスターが貼ってありました~。くれ~。

2004/10/19 (Tue) East Hartford CT (Connecticut州) @Greater Hartford Deaf Club

昼頃起きて、コーヒー。昨日は結局めし食わないで寝てしまった。今日はそんなに移動はしないとの事で、なんだかのんびり。こっち来て、初めてTVを見る。昨日の野球は結局14回までやって、レッドソックスの勝ち。松井を応援したかったけど、ボストンじゃ出来ないよ~。しばらくだらだら。
今日はベトナム料理の店に入る。着いたのは15時くらいだったが店員はおっちゃん一人。9人でいったので、料理が出てきたのは16時くらい。Chrisは腹減っていてつらそうでした。チキン&ヌードルを頼むと出てきたのは、ヤキソバ。ラーメンを期待していたが違ったよ。でも美味かったし、ひさびさに箸で食事した。
そこから移動。今日はそんなにかからないと言っていたけれど、かなり夜遅くまで走る。途中寄ったスーパーで、寿司を買う。ほとんど全種類アボガド入り。ネタは美味いがやっぱり米がいまいち。それでも腹減っていたので全部食べました。途中高速で前の車がいきなりスピン!くるくる回転してガードレール直撃!!!あぶねーなー。
着いたのは8時過ぎ。後でフライヤー見たらスタート7時。遅刻してました。会場は結婚式場のような協会のような。完全に住宅街の中。もちろんステージは無くてフロアで演奏。トップのバンドはCLUSTER FUCK。ベースの女の子以外はおっさん。Voはピエロみたいな派手な服を着ていて、歌い方はビアフラみたい。演奏は上手くて、意外に面白かった。最後はベースの子が歌って終了。
次のSLEEPER CELLが良かった!昨日よりもかなり良い感じ!演奏もタイトで、かっこいい!ドラムのプレイはやはり目を見張るものがありました。GREAT ! 次のSIGNAL LOSTがセッティングを始めるが、今まで道路に向かっていたアンプが何故か隣りの家の方に方向転換。苦情を少しでも避けるためのようであった。今日もSIGNAL LOSTは良い感じ。いつも演奏が安定しています。 SIGNAL LOSTを見ている間に急いで弦を張り替える。そしてセッティングを始めるが、Stanが警察が来るから、そんなに長く演奏できないと言ってきた。そしてベースの音を出していると、レコード売ってる奴に“下げろ”と言われる。なんか雲行怪しいな~、と思ってるとアシュリーが来て1曲だけにしろと言われる。マジで?!メンバーに伝えているとさすがに悪いと思ったか、連続でやって、1曲みたいにすればOKとの事で3曲やる。それでも反応は良くて、“One more!”と何人か前の方にいる奴等に言われ、もう1曲だけやる。調子も音も良かったし、完全なライブをやりたかった。日本では体験できない事かな。4曲しかやってないのに、LPそこそこ売れたみたい。今日は2人くらいレコード売りに来てました。
今日はCries Of Painというレーベルをやっている人の家に泊まる。名前忘れちゃった。すいません。彼はAOSというバンドでも活動していて、地下室にはTシャツをプリントする機械があり、もの凄い数のレコードが!日本の物たくさんあったな~。レコードやCDは全てアルファベット順に並んでいてマニアですね~。壁にはたくさんのフライヤー。消毒とか日本のもありました。途中に寄ったスーパーで買い物をしていたChrisが、うまいパスタを作ってくれた。マジで美味い。パンも最高で、今日は満足です!家全体も清潔感があり、落ち着けました。
ジュン君を除いて地下室で就寝。楽しい時間を過ごせました。

2004/10/20 (Wed) Baltimore MD (Malyland州) @THE TALKING HEAD

起きて結構早めに出る。ハロウィンの時期なので、まわりの家々にもたくさんのカボチャの飾りがあり、外をみているのも楽しい。出発してガスを入れるとアシュリーが運転席へ。なんか不安に感じたが、的中!道間違えるし、シフト操作は何だか危うい。後ろで寝ていたジャスミンが“I'm scared…”。俺も恐かった。
しばらくして、SUPER STOP SHOPという大きなスーパーで昼飯を購入。昨日の帰りによったのも場所は違うが同じスーパーでした。安いのでドーナツの12個入りを購入したが、甘くて全部は食べられず。俺はその他にチーズやポテトチップスで腹ごしらえ。Timmyがパスタやポテトなどを分けてくれたので、かなり腹いっぱい。
その後の休憩の時に、今日は2つのオプションがあると言われる。まだ4時間程時間があるから、ワシントンD.C.に行って観光するか、ボルティモアでレコード屋に行くか。俺としては今日は以前からトレードなどで連絡を取り合っていたClintとEricのバンドSHIT DOGS OF WARが対バンなので真っ先にボルティモアに行きたかったが、彼等はかなりDCに行きたそうな感じ。俺たちは移動手段がないため、正直彼等の意向に従わざるを得ない。結局DCに行く事になったが…。
着くまでは熟睡してしまったため、全く覚えていない。車を出ると、歩く、歩く、歩く…。小雨の中、1時間くらい歩き続けただろうか。D.C.は確かに今までの街とは違う雰囲気が感じられたけど、もうライブに間に合わないんじゃないのというヤバイ雰囲気が漂ってくる。そんな中、これから飯を食うという。えっー!完全に間に合わないじゃん!
CHINA TOWNで中華屋に入るが、持ち帰りで頼んでいるのに、料理が来た奴から食い始める!なんで?!袋に入れてもらってる意味ありませんから!結局俺とジュン君だけ食べる時間無くて車へ。雨の中歩き続けたせいか体が重く、また寝てしまい、いつの間にかボルティモア着。
着いてとにかく驚いたのが、外に漏れてる音のデカさ。デカいなんてもんじゃないっす。マジで。日本ではありえないデカさ。これで警察来ないの?感覚がわかりません。中に入ると既にSHIT DOGS OF WAR!マジ?でも最後の1曲だけ全部見られた。あーっ!悔しい!それでもEricはMCで俺とハンマーの事を言ってくれていた。優しい奴!そして次はNYで一緒だったHERO DISHONEST!フライヤーには載ってなかったので、驚いた。音がデカくて、NYの時よりも数段良かった!ほんとオススメ!
そして次は俺達。個人的には、何だか気持ちが定まらないままに出番が来てしまった感じ。ただPAの兄ちゃんは良い人で、色々とやってくれていた。客が前に集まってくると、誰かが投げたビールの空き缶が俺の足元に!燃えたね。演奏的には今回のツアーのなかでもベスト。今回唯一シノがステージの上で歌った。後半は俺自身かなりノッてきて楽しくやれた。客の反応も良かった。なんだか着いてすぐ本番で、本当にアッと言う間に終わったよ、ボルティモア。終わって飲んだら気持ち悪くなって、車の中で寝る。かなり疲れがたまってたみたい。その後起きて、2階のビリヤードがある場所でClintとEricと話す。ハンマーの全員に彼等のTシャツをくれたり、ほんと良い奴等。彼等はレーベルもやっていて、今後日本のmind of asianとアメリカのStraight Edge KeggerのスプリットLPをリリース予定。乞うご期待!!!
でもやっぱり手紙やメールをやり取りしていた奴等に実際に会って話すのは楽しい。まさか彼等にD.C.に行ってたから、見られなかったとは言えず…。ツアーで来た、と言う事を念頭に置いておけば、こんな事は無かったかもしれない。後悔、そして反省。この借りは必ず返します。グラインドコア好きの俺にとって、彼等は本当に仲間です。絶対に戻ってくるぜ~。
そのまますぐに出発して、今日はTimmyの実家に向かう。途中で寄ったスタンドで飲んだコーヒーが無茶苦茶美味かった!結局着いたの朝4時。なんだか全く眠れなかったよ。一日早かったな。

2004/10/21 (Thu) Ashville NC (North Carolina州) @GREEN EGGS & JAM

この日のライブは俺にとって、忘れられないライブのひとつになりました!ただ朝の時点では、そんな感じになるとは全く思えなかった。全然眠れず、一人で朝からツアー日誌を書いたり、腹減ってたので、車の中に残してた昨日の中華を食べて時間をつぶす。今日はTimmyのオフクロさんに会う。一緒に朝食を取るとのことで、近くのダイナー(小さいレストラン)へ。ほんとにテレビに出てくるようなアメリカのお母さんって感じ。
みんな英語で苦労しながらも何とか注文する。ウエイトレスはハキハキしてて、感じの良い子でした。ハムがしょっぱかった。4人でチップ入れて、25ドル。まあ普通かな。コーヒーはいまいち。
そこからはひたすらドライブ!途中の休憩所で、80年代のレスラーばかりが出るプロレスのポスターを発見!ダスティーローデス!アニマルウォリアー!ホーク死んじゃったんだよな~。やっぱり俺は80年代だね。テレビ東京の“世界のプロレス”が懐かしい。
夜8時過ぎに会場であるGREEN EGGS & JAMに到着。なんとレコード屋です。今日対バンのCHRONICLE A.D.は既に終わってて、残念!Timmyも見たかったと言っていたが、今日はひたすらドライブしてて、この時間だから仕方ない。アメリカは広いです。

hammer

外に客がたまっていて、雰囲気も良い。なんか一発で気に入った。今日のSIGNAL LOSTは演奏も良く、かなり盛り上がっていました。アンコールもあり、見ていて面白かった!
そして、俺達。セッティングをしていると、またも音量を下げられる。加減が全くわからねー。モニターなんて、もちろんないし。そしてStanに、時間が遅いから早くやれと言われる。わかりましたー!で始まるやいなや、今日は凄い暴れっぷり!止まらない!みんな腕上げて、何を言っているか分からないはずなのに、コーラスで声を出して歌ってくれる。ダイブしてる奴もいて、やってて手応えありました!とてもレコード屋でやってるとは思えない!
最後の曲が終わってアンプの後ろに引っ込んでも、許されず、アンコールで一曲やる。これも盛り上がり、終了。燃え尽きた!最高でした! 終わって、たくさんの人に握手を求められ、レコード屋の人には、12インチにメンバー全員でサインしてくれと言われる。Timmyには、ここにはあまり日本のバンドはこないし、みんなPunk bandに飢えているとライブ前に聞いていたが、本当にみんな楽しんでくれたみたい。ありがとう!
今日は企画者の家でパーティー。KYLESAのローディーをやっているとかで、やたらにKYLESAのフライヤーが貼ってある。見た目はロブハルフォードみたいでした。寝る前にはDANZIGの1stを部屋で流していて、俺と趣味が合いそうだった。今日はかなり気分が良かったので、たくさん飲んで、たくさん話して、たくさん写真撮りました。Stanとグラインドコアの話で盛り上がる。
ツアー中、これまでに使わせてもらったパソコンは、日本語は完全に文字化けしちゃってて、読めなかったが、この家にあるパソコンは普通に読めた。理由は分からず。その為日本のニュースを知る事が出来た。テレビも見ないし、全く情報がなかったので新鮮だった。もちろん日本語入力は出来ないので、メールをローマ字で返信。便利な世の中。
長いパーティーも終わり、入り口のすぐそばにあるソファで寝かせてもらう。が、でかい犬がすぐそばで寝ていて、その威圧感であまり眠れず…。結局朝起きて、違う場所で寝直すも眠れず。またまた長い夜になりました。

2004/10/22(Fri) Athens GA (Georgia州) @TIGHT POCKETS

今日はライブ最終日。ツアーは、始まるとアッと言う間です。今日はまず昨日のレコード屋のすぐ近くにあるベジレストランへ。店に入る時にきのうの客が何人か残っていて、ハンマー!と声をかけられる。嬉しいね~。メニューを見ても正直よくわからず、何を頼めばいいのか迷う。結局ベジバーガーを注文。出来たら名前で呼ぶから、名前を教えてくれと言われる。面白いね。レジの女の子が俺好みで、可愛かった。サラダにどのドレッシングを使うか迷っていると、わたしはこれが好きと言ってくれたりして、ちょっと楽しかったです。でも俺が頼んだスマッシュドポテトは忘れられました。結局食えず。残念!
本格的に移動する前に楽器屋に寄る。よく見なかったけど、値段もそんなに安いわけではないみたい。今日の車中でかかってたのはSLAYERにLEATHERFACE!いいね!途中でまたスタンドに寄り、菓子などを購入。買い物にも慣れてきた。でも明日帰国。
今日は最初に対バンするNO!というバンドのドラムの家に行く。チリスープにパンをご馳走になる。辛いけど、美味しくいただきました。食事後すぐに会場に移動。まわりは真っ暗で、客もまばら。不安になる。
最初にやるのはNO!。ドラムとギターの2人のみ。これが良かった!とにかく激しいし、短くて、見ていて面白い。後で話を聞いたら、数ヶ月前に始めたばかりらしい。デモを録るから、送るよと言われました。期待して待ってます!ドラムの人が着ていたSEPTIC DEATHのTシャツください!
2番目はTHE NEON DEADS。このバンドが遅れてくるから、順番が早まるかもしれないと言われていたのだが、店の人がマイクで、次のバンドが遅れているけど、日本からわざわざ(フライヤーにもそう書いてありました。)ハンマーが来てるから帰るなとアナウンスしてくれた。お客さんもその間にビールをくれたり、ケアしてくれる。まわりには店なんてないから、ほんと助かりました。結局そんなに待たずに、バンド到着。NO!の時には20人もいないくらいだったけど、この時にはすでに満杯近く来てた。ちなみにシノ曰く、今日は女の子のレベルが高い…らしいです。でも確かに女の子のお客さん多かった。このバンドはハッキリ言ってあまり覚えてません。客が多すぎて、よく見えなかったです。ごめんなさい。
SIGNAL LOSTを見るのは最後なので、じっくり見ようと思っていたが、寝不足が俺を襲う。だが、今日も調子の良いSIGNAL LOSTを見て目が覚める!アシュリーはがんがん客の中に入って歌うし、演奏も良い。Stanのコーラスが決まってたなー。いつもハンマーの事をMCで言ってくれて、感謝。ほんとに良いバンドです。
始める前から、お客さんが集まってきてくれて、雰囲気良し。ただステージ側に全くライトの類いが当てられてないため、よく見えない。何故か反対側の物販スペースには、でかいライトがあるんですけど。ステージ(と言うか、ただフロアに絨毯が敷かれているだけ)横に大きな扇風機が2台あったけど、それでも…暑い!ステージのすぐ後ろが扉になっていて、今までのバンドは全て終わってすぐに扉を開けていたが、その理由が分かった。
今日も反応良し!途中で客の一人が“Circle pit !”とマイクで言うと、本当にモッシュの輪が出来て面白かったな~。ただ途中で一度店の人に演奏止められると、客に店のまわりの車を移動してくれとのアナウンスを流してた。それでも前にいた客が、“酔っ払ってる奴には関係ないぜ!”この言葉を合図に再開!最後まで盛り上がって終了。あれだけ暴れてくれると気持ち良いです。ただ俺は最初のコーラスのマイクを置いた位置が悪くて、ほとんどライブ中動けず。ともっちゃんが激しく暴れていて羨ましかった。もうちょっと前に置けば良かったかな。あと俺の横で見ていたTimmyにシールド抜かれました。Timmy全く気が付いてないし。アンコールで1曲やって、ライブ終了!楽しかったです!
Timmyは俺達が持って帰る分のTシャツやレコードなどをまとめてくれていて、感謝。彼は本当にマメな人。ライブ後に、俺達のLPを買ってくれている人を見るのは最後か。日本じゃ、そんな光景ないから目に焼き付ける。
最後に写真をたくさん撮って、またNO!のドラムの家に戻る。夜中なのにラジカセを外に向けてDeath Metalを大音量で流す。騒音に対する感覚は日本と全く違うみたい。今日もパーティー。色々なバンドのビデオを見たりして、楽しかったけど、明日かなり早い時間に出ないと間に合わないので、荷作りをする。無事に終わった安心感と、明日帰ってしまうんだなという寂しさが同時にこみ上げてくる。

2004/10/23(Sat) Atlanta airport

まだ暗い朝7時に出発。空港までの車中、今回のツアーで起きた事がたくさん頭を駆け巡る。初めて会う俺達に、レコードもそんなに出してるわけじゃなく、名前が浸透してるわけでもない俺達に、ここまでの事をしてくれたTimmyとSIGNAL LOSTには本当に感謝。とても言葉では表せないくらいにお世話になりました。そして行く先々で、色々な面で助けてくれた全ての人々に感謝します。ありがとう。
最後は全員涙の別れ。文句も言わず毎日の長距離ドライブをしてくれて、常に腹は減ってないか、よく眠れたか、何か困った事はないかと気を配ってくれた。必ずまた戻ってきます!
で、カッコつけて、飛行機のチェックインは自分たちでやるからと言ったものの、全員旅慣れてないのを見事に露呈。荷物預けるのにも一苦労。冷や汗かきつつ、何とか飛行機に乗り込む。ミネアポリスで乗り換えて、成田に着いた時はホッとしました。お疲れ様!

<あとがき>

今回のツアーでは、大きなフェスティバルのようなライブは無く、地道な感じのライブばかりでしたが、とにかく毎回面白かった。動員は30~100人くらいだったと思いますが、どこも反応をダイレクトに返してくれて、刺激を受けました。またリハが無い、モニターが無く生音が当たり前な状態で、到着後すぐに本番というのも鍛えられました。ライブ以外では、とにかく移動が長い。朝出て、夜着くのは当たり前。国内でも長いツアーを経験した事の無い俺達にとっては良い経験。タフにならなければ、やっていけません。
また何処へ行っても、お客さんも他のバンドのメンバーも、店の人も色々と助けてくれた。機材のある所もあったが、基本的には全ての機材を持っていかなければライブをやれない。様々なバンドが機材を快く貸してくれて、気持ち良くライブ出来ました。ライブ後に泊めてくれた家は、全て何人かでの共同生活をしていた。冷蔵庫に掃除当番表が貼ってあったり、扉に注意書きがあったり(必ず閉めろ、とか)生活感満載。大きな家を安く借りられるアメリカならではの生活なんだろうか。生活自体がDIYというか助け合って成立しているようでした。
ハンマー初の海外ツアーは一本のキャンセルも無く、無事に終了。このツアーで学んだ事はたくさんあり、その全てをこれからのバンド活動の糧にしていきたいと思います。これからもよろしく!